質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
パラジウムとプラチナは、どちらもジュエリーにも使われている金属です。プラチナの指輪やパラジウムのネックレスなどを見たことがある方もいることでしょう。
しかし、ぱっと見た目だけでは、色がシルバーなので違いが分かりません。では、パラジウムとプラチナには、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
目次
プラチナとパラジウムの違いについて、見ていきましょう。
価格はプラチナよりもパラジウムの方が高い
2023年1月6日現在、プラチナ(PT1000)1gあたり4,713円、パラジウム1gあたり8,481円
パラジウムの価格は、プラチナの2倍程度高い相場になっています。
プラチナよりもパラジウムのほうが硬い
プラチナよりもパラジウムの方が軽い
プラチナのジュエリーは見たことがあるけれど、パラジウムは見たことがない、という方もいるかもしれません。
プラチナとパラジウムは、どちらも「レアメタル」(希少な金属)に分類され、貴金属だけでなく工業や製造などの現場でも使用されている金属です。
プラチナとパラジウムはどちらも銀白色をしており、一見すると同じ金属のように見えるかもしれません。しかし価格はパラジウムの方が高いです。また、プラチナよりもパラジウムの方が硬く傷つきにくい点が違いといえるでしょう。
また、重量にも違いがあります。同じ大きさのプラチナとパラジウムを比較するとパラジウムの方が軽く、プラチナの半分程度の重さしかありません。
プラチナは、日本では「白金」と呼ばれることもある銀白色の金属です。白金といっても、金ではありません。元素記号はPtです。
銀よりも透明感のある明さがあり、ゴールドの合成金属であるホワイトゴールよりも重厚感のある輝きが特徴だといえます。
プラチナはゴールドよりも希少な金属であり、いわゆるレアメタルのひとつ。融点が高く酸化・腐食しにくい性質であるため、車などの工業用品、医療や化学、バイオ分野で活用されていますが、価格が高いため他の金属への置き換えが進められています。
パラジウムもプラチナ同様に銀白色をしている金属。色はプラチナよりも明るく、ゴールドの黄金色を薄くすることにも使われます。
希少な金属であるレアメタルのひとつであり、元素記号はPd。プラチナよりも比重が低いので軽い、融点が低くて加工しやすいなどの点が特徴的です。そのため、装飾品だけでなく、電気・電子部品や歯科治療の部品にも活用されています。
また、パラジウムは水素を吸着しやすいため、金属成分が金属イオンとして溶け出しやすいという性質も持っています。この性質を活かし、車の排ガス浄化の触媒などにも使われているのです。
くすみのない高貴な白い輝きを放つプラチナは、ジュエリーを愛する人にとって憧れの金属でしょう。プラチナにはその輝きや色合い以外にも、メリットはたくさん。ここでは、プラチナをジュエリーとして使う際のメリットとデメリットを解説します。
プラチナのメリットは、なんといっても変色や変質の心配がないことです。この特性は、常に身につけることになるマリッジリングとして最適だといえるでしょう。サイズ変更の加工もしやすい性質であることもメリットのひとつです。
また、プラチナの透明感のある銀白色と上品な輝きは、宝石の色を邪魔することなく最大限に引き立ててくれます。中でも、ダイヤモンドとの相性は最高。ダイヤモンドの輝きを最大限引き立てます。そのため、ダイヤモンドとプラチナは永遠の愛を誓うエンゲージリングの定番になっているのです。
プラチナはゴールドの採掘量の5%程度しか採掘されていない希少な金属であるため、価格も高くなってしまう点がデメリット。このことから最高級の金属というイメージにつながっているといえます。
また、重いという点もデメリットとなり得ます。細めのマリッジリング程度であれば重さは気になりませんが、豪華で大振りなプラチナのジュエリーはつけているうちに重く感じてしまうことがあるかもしれません。
さらに、プラチナは純度が高いほど軟らかくて伸びやすいため、傷がつきやすいというデメリットもあります。
パラジウムは、ジュエリーの合金の混ぜ物としてさまざまな場面で使われています。最近では、パラジウム自体を地金にしたジュエリー増えてきました。中には結婚指輪をパラジウムで作る人もいるようです。ここでは、パラジウムをジュエリーとして使う際のメリットとデメリットについて解説します。
パラジウムのメリットは、プラチナの半分程度の重さであるため、大振りなジュエリーでも軽く仕上げられることです。
さらに、硬いというパラジウムの特徴もジュエリーに適しています。たとえば、プラチナ95%の製品とパラジウム95%の製品の硬さを比較すると、パラジウムの硬さはプラチナの約2倍。パラジウムのジュエリーなら、長く使い続けても傷がつきにくいでしょう。
パラジウムのデメリットはあまり知られていない金属であるということです。そのためジュエリーショップなどの店頭に置いていることも少なく、購入したいと思ってもなかなか見つかりません。
また、硬度が高く傷つきにくいということは、サイズを変える加工などが難しいということを意味します。そのためパラジウム製のジュエリーは、デザインがシンプルになりやすいのです。
さらにパラジウムは、成分が金属イオンとして溶け出しやすいという性質を持っています。これは金属アレルギーを引き起こす原因にもなりかねません。肌に増えるジュエリーとしては、デメリットといえるのです。
プラチナの指輪やネックレスの表示で、「PT950」や「PT850」などの文字を見たことがあるでしょうか。これらの文字は、プラチナの純度を示しています。PT1000はプラチナの純度が100%、つまり他の金属が混ざっていないという意味。たとえば、「PT900」なら90%のプラチナと10%が他の金属を混ぜ合わせて製造しているということです。
多くのプラチナは、パラジウムやルテニウムなどの金属を混ぜ合わせています。パラジウムを混ぜ合わせると適度な硬度を持たせることができ、プラチナがより透明感のある銀白色になります。パラジウムを混ぜることで重量が少し軽くなります。
2018年からパラジウムが徐々に高騰しています。2023年1月6日現在、プラチナ(PT1000)1gあたり4,713円、パラジウム1gあたり8,481円と、プラチナよりもパラジウムの方が2倍ほど高い状態です。
そもそも、なぜパラジウム価格が高騰しているのか?
2015年のフォルクスワーゲン排ガス不正が発覚し、プラチナが使われている「ディーゼル車」が売れなくなりプラチナ価格が暴落しました。しかし、パラジウムを使う「ガソリン車」と「電気自動車」の需要が高まりパラジウム価格が高騰しています。
要するに、「パラジウム」の需要が増えたので高騰しているということです。
ただし、新型コロナによる世界的な半導体不足で、自動車自体が減産しなければならない状況にあり、1度上昇した価格も下落傾向にあります。今後、半導体の生産が増えれば、自動車生産も増産できるので、「パラジウム相場」は上昇すると予想されます。
プラチナなどの貴金属は、純度が高ければ高いほど価値があると思われがちですが、ジュエリーでは、より美しく丈夫で使いやすくするために数種類の金属を混ぜ合わせて使います。ジュエリーを購入するときには、ぜひパラジウムとプラチナの割合をチェックしてみてください。
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