質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
ジュエリーに工業用にと大人気のプラチナですが、プラチナの硬度はどのくらいなのでしょうか。
純プラチナは柔らかいのでそのままでは使いにくいという欠点がありますが、硬度を高めるために他の金属と混ぜて使うのです。
今回は、プラチナの硬度はどのくらいなのか、プラチナ合金にすると硬度はどのくらい上がるのかなどについて、詳しくご紹介します。
目次
プラチナは原子番号78番、元素記号Ptを持つ金属元素の1つ。色は落ち着いた銀白色で、ジュエリー、特にエンゲージリングの素材として人気です。
プラチナは手に持つとずっしりと重みがありますが、純プラチナは柔らかいため変形しやすいという性質を持っています。
この点は、プラチナをジュエリーに加工するにはデメリットですが、工業用に使われる場合はメリットです。また、純度が高い方が、現物資産として持つ場合に当然のことながら価値が上がります。
では、プラチナの硬度はどうなっているのでしょうか。
「ビッカース硬さ(Hv)」という単位を用いたプラチナの硬度は50Hv程度。金よりは硬いですが、銅や鉄に比べるとずっと柔らかい金属だといえます。つまり、プラチナは重いけれど硬度は低いため、柔らかく傷つきやすい金属ということです。
もう少しプラチナと他の金属の硬度を比較してみましょう。
まず金ですが、プラチナと金の共通点はいくつかあります。どちらも希少価値が高く、重さのある金属。また、純度が高ければ高いほど柔らかいという性質も共通しています。
重さでいうと、プラチナは金属の中で3番目に重い金属。プラチナの比重は21.45g、ちなみに金の比重は19.3gです。金もプラチナも、手に持つとずっしりとした重量感がありますよね。
次に硬度を比較してみましょう。
金は通常22Hvの硬度を持ちますが、熱処理を施すことで硬度は50Hvまで上げることが可能。これに対し、プラチナは110Hvまで硬度を上げることができます。
よって、プラチナは金よりも硬い金属だといえるのです。
もっとも、金は他の金属を混ぜることで硬度は上昇。たとえば、ホワイトゴールドと呼ばれる金とニッケルやパラジウムとの合金がありますが、金の割合が25%の18Kだと、硬度は125Hvまで上がります。
ここまでの硬度があると、ジュエリーに加工しても傷ついたり変形したりする心配はありません。
次に銀の硬度をみてみましょう。
銀は純銀だと金より少し硬い25Hv。しかし、純銀に0.05%のニッケルを混ぜるだけで、硬度は100Hvまで上昇します。
ちなみに他の金属の硬度を参考までに挙げると、ダイヤモンドは7,140~15,300Hv、銅は100Hv、鉄は110Hvです。
プラチナもまた混ぜ物をすることで、100Hvまで硬度を上げることが可能。こういったプラチナはプラチナ合金、もしくはハードプラチナと呼ばれます。
プラチナに混ぜる金属の種類によって、硬度は異なります。ここでは、それぞれの硬度や特徴について、詳しく見てしていきましょう。
プラチナと、プラチナが生産されるときに副産物として産出されるパラジウムを割金として使ったプラチナ合金です。
プラチナとはなじみやすい性質を持つパラジウムですが、硬度はそれほど高くないため、細かい装飾を施すジュエリーに向いています。
硬度はパラジウムの割合が10%のPt900だと60~130Hv、15%のPt850 だと70~200Hvです。
プラチナとパラジウムにさらにルテニウムを加えたプラチナ合金。ルテニウムもまたプラチナの副産物で、酸化や腐食しにくい点などの性質もプラチナと共通しています。
混ぜるルテニウムの割合は1~3%。硬度はパラジウム9%・ルテニウム1%だと70~140Hv、パラジウム7%・ルテニウム3%だと110~220Hvまで上昇するのです。
このタイプのプラチナ合金は、リング・プラチナチェーンの鋳造に用いられます。
プラチナとパラジウムに銅を混ぜ合わせたプラチナ合金。銅は元々の硬度が100Hvを超えるため、銅が加わることで一気に硬度が増します。
硬度はパラジウム7%・銅3%のPt900だと110~230Hv、パラジウム10%・銅5%のPt850だと120~250Hvまで上昇するのです。
このタイプのプラチナ合金は、切断処理を要するリングなどによく用いられます。熱処理をすると銅の色味が増し、見た目が悪くなると思うかもしれません。しかし、酸処理を行えばプラチナ本来の銀白色を取り戻せます。
日本人に金に負けず劣らず人気があるプラチナ。しかし、その硬度について、またプラチナ合金にした場合の硬度については詳しく知らなかった人は多いかもしれません。今回ご紹介したことを参考にしていただくと、プラチナがよりいっそう身近に感じられるのではないでしょうか。
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