熊本市東区の質屋 質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
冠婚葬祭で活躍する真珠のジュエリーですが、出番が少なく売りたいと考える人は多いでしょう。
しかし、買取価格の相場を調べると、値段がつかなかったという意見を目にすることがあるかもしれません。
そこで本記事では、真珠の買取はなぜ値段がつかないのか解説します。
高く売れるジュエリーの特徴や、売却時のポイントも紹介するので、真珠を売る前にぜひ参考にしてくださいね。
目次
相場の低さや劣化しやすさなどさまざまな理由から、真珠は買取の値段がつきにくいといわれています。
まずは、真珠のネックレスや指輪が売れにくい4つの理由を詳しくチェックしましょう。
中古の真珠は買い手がつきにくいので、買取の相場も安く設定されています。中古の真珠の需要が低い原因は、出番が少ないためです。
フォーマルシーンに欠かせない真珠は、大人のたしなみとされるジュエリー。しかし、冠婚葬祭以外では出番がほとんどありません。「1つあれば十分」と考え、新たに買い足す人は少ないでしょう。
さらに、流行り廃りがないので母や祖母から受け継ぐ人が多いことも、買い手がつきにくい原因といえます。
真珠は劣化しやすいぶん、買取価格が下がりやすいでしょう。貝の体内で作られる真珠は、人と同じく有機物でできている宝石です。皮膚と同じように、環境や汚れにより美しさは損なわれることがあります。
たとえば、皮脂・化粧品・酸性の高い液体などが付着したまま放置すると、黄ばみや濁りが生じるでしょう。紫外線を浴びると、変色やひび割れが発生する恐れもあります。真珠が連なったネックレスは、真珠同士が擦れて傷つく可能性も高いでしょう。
さらに、真珠の寿命は20〜30年ほどといわれています。状態がよくても中古である時点で経年劣化は始まっているので、買取価格はつきにくいでしょう。
一方で、ダイヤモンドやルビーなどの宝石は、買取価格がつきやすいとされています。無機物で半永久的に輝きを保つ点が、真珠との大きな違いです。
地金の使用量が少ないことも、真珠を用いたジュエリーの買取価格がつきにくい原因です。ジュエリーの買取価格は、宝石だけでなく地金の価値も影響します。
たとえば、ゴールドやプラチナを使用しているジュエリーは、ブランドものでなくても素材による付加価値がつくでしょう。ゴールドやプラチナなどの素材は、精製すれば新たなジュエリーとして中古市場に出すこともできるからです。
一方で、真珠のネックレスやピアスは、留め具の部分にしか素材を用いていないケースが多いもの。ただし、真珠を1粒のみあしらった指輪やネックレスなどであれば、地金の使用量が多く買取価格も上がる可能性があるでしょう。
真珠の偽物や模造品が広く流通していることも、買取価格がつきにくい原因のひとつです。偽物や模造品が作られることによって、天然の真珠の需要が落ちています。
本来、真珠は天然の産物。しかし、養殖により大量生産できるようになってからは、需要よりも供給が上回っている状態です。さらに現代では、シェルパールやコットンパールなどのイミテーションも作られています。
「高価なものより、安価なイミテーションのほうが汚れを気にせず使いやすい」「イミテーションのほうが普段着になじみやすい」という価値観もあいまって、天然の真珠を購入する人が少なくなったと考えられるでしょう。
私個人的に20年ほど買取査定しています。そんな中で、来店されたお客様の多くが持ち込みされるのが「真珠」です。
50歳以上の一家には、必ずと言ってよいほど「真珠の指輪」「真珠のネックレス」「真珠のブローチ」などあります。
ということは、真珠が欲しいという需要よりも、売りたいという供給の方が多いのが現状です。
需要と供給のバランスでも分かるように、売りたい方が多い「真珠」は、自ずと値段が安くなってしまいます。
真珠にはさまざまな種類があります。とくに高い値段で買い取ってもらえる可能性があるのは、次の3種類です。
それぞれの特徴を紹介するので、手持ちの真珠アクセサリーに該当するかチェックしてみてください。
世界中で人気が高いアコヤ真珠は、本真珠や和珠とも呼ばれています。日本国内でも多く養殖されており、繊細な真珠層と透明感あふれる上品な光沢が魅力です。
母貝であるアコヤ貝は手のひらほどの小ささのため、アコヤ真珠も5〜7mmほどの小粒サイズが一般的。おもな色合いはホワイト・ピンク・ゴールド・クリームなどですが、ブルーやグレーなども見受けられます。
黒蝶真珠は、黒真珠やタヒチ真珠とも呼ばれています。南洋の黒蝶貝から採れ、深みのある色合いと個性的な形が特徴的です。
変形率が高いため、涙のような形や楕円形、溝が入ったものなどさまざまな形を楽しめるでしょう。さらに、ブラック・ピーコックカラー・グリーン・ブラウン・レッドと、色のバリエーションも多彩。個性的な雰囲気を楽しめるでしょう。
さまざまな種類のなかでもとくに有名な白蝶真珠は、最高級の真珠ともいわれています。採取できるのは、オーストラリア・インドネシア・フィリピンなどの海域です。
母貝が大きいぶん真珠自体も大きく、10〜20mmを超えるサイズが特徴的。長い時間をかけてゆっくりと大きく育つので、真珠層が厚く柔らかい輝きを放ちます。ホワイト・クリーム・黄色・ゴールド・グレー・ブルーなど、色も豊富です。
ノンブランドの真珠だと値段がつきにくいですが、ブランド真珠は値段がつきます。
有名ブランドであることも、高価買取につながります。ブランドの真珠は販路を確保しやすく品質も信頼できるので、一定の値段がつきやすいでしょう。
とくに、真珠で有名なミキモトとタサキのブランド力は、査定額に大きな影響を与えます。鑑別書や保証書がついていれば、5〜10万円ほどの価格を期待できるでしょう。
ここでは、それぞれのブランドの特徴を紹介します。
130年以上にわたり真珠の魅力と向き合うミキモト。真珠の販売において、世界一のシェアを誇ることが特徴です。
ミキモトのパールジュエリーには、アコヤ真珠のなかでも最高級クラスのものを使用しています。商品ごとに真珠の色やテリのバラツキが非常に少ないので、どの商品も一定の値段がつきやすいでしょう。
商品や状態にもよりますが買取価格は7〜15万円前後、高額なものであれば45万円以上を期待できます。
タサキは、クオリティにおいて上位4%に入るハイグレードな真珠を選別し使用しているブランドです。とくに真珠層の厚さにこだわり、一般的な真珠よりも真珠層が厚いもののみを選び取っています。厳選された真珠は表面が滑らかで、均一な光沢が美しく見えるでしょう。
商品や状態にもよりますが買取価格は10〜20万円前後、高額なものであれば40万円以上の値段がつくケースも多いとされています。
真珠の買取査定では、おもに次のポイントをチェックしています。
それぞれ詳しく解説します。
真珠の買取では、真珠の大きさが値段を左右します。基本的に大粒のものほど、高額で買い取ってもらえる可能性があるでしょう。
小粒なものが多いアコヤ真珠は、9mm以上から買取価格がアップします。一方で、大粒なものが多い黒蝶真珠や白蝶真珠は、12mm以上から買取価格が上がる可能性があるでしょう。
キズが入っている真珠は、価格が下がりやすいので注意しましょう。真珠のキズには、天然傷と加工傷があります。
天然傷は、養殖の際に表面にできる突起やくぼみなどの先天的なもの。ほとんどの真珠にあり、ごく小さな傷であれば品質に影響しません。
加工傷はアクセサリーに加工する段階で、真珠に過剰な染色や漂白、研磨を施すとついてしまう傷です。加工傷がついたものは劣化が早く、買取価格も低くなります。
使用中に真珠をキズつけた場合も、買取価格は下がるでしょう。尖ったものなどと一緒に保管したり落下したりした真珠は、キズがついている可能性があります。
真珠の形がきれいな丸に近いほど希少価値が上がり、買取価格は高くなります。真珠は貝のなかで生まれる過程で、徐々に変形していくことが多いためです。
とくに真珠の養殖がなかった昔は、丸い真珠は奇跡の1粒とされており非常に高価でした。過去の名残から養殖が盛んになり丸い形を作りやすくなった現在でも、丸い真珠が評価されています。
しかし現代では、変形した真珠も個性として評価されることも。とくに涙の形は人気が高く、丸型よりも高額で買い取られるケースがあるでしょう。
人気の高い色の真珠は、需要が高いぶん高価買取を期待できるでしょう。
各種の人気カラーは、次のとおりです。
なお、紫外線や経年変化による黄ばみは、値段が下がる原因になるので注意しましょう。
テリと呼ばれる光沢が強いほど、買取価格は高くなります。
テリは、真珠の美しさを決める重要な要素です。強いほど表面にツヤができ、オーロラのような輝きが見えます。輝きが強い反面、真珠に映る影はくっきりと映るでしょう。
テリが弱いと表面のツヤが失われ、影もぼんやりします。購入時はテリが強くても、普段使いしたりメンテナンスを怠ったりすると、汗や皮脂などで失われてしまうでしょう。
巻きがよい真珠ほど、買取価格は上がります。
巻きとは、真珠層の厚さのことです。真珠は中心にある核のまわりに薄い真珠層が何千枚と重なってできたもの。真珠層が厚く均一なほど、真珠自体が大きく強い光沢を放ちます。
真珠層が厚いものは、耐久性にも優れていると考えられるでしょう。
真珠を売却する前に、準備を整えておきましょう。ここでは、真珠の買取価格を上げる4つのポイントを紹介します。
可能であれば真珠のジュエリー本体のほかに、付属品も揃えて査定に出しましょう。鑑別書・保証書・ケースなどの付属品は、品質を判断する重要な材料となります。
とくに、品質を客観的に証明する鑑別書は、買取価格のアップにつながるでしょう。真珠は本体だけでは産地の判断が難しいといわれているので、鑑別所があると種類を判別しやすくなります。
しかし、必ずしも真珠の買取に付属品は必要ではありませんが、自宅にある場合は一緒に査定に出すとよいでしょう。
真珠に付着した汚れなどは、売却前に拭き取りましょう。できる限り状態がよいほうが、高く売れる可能性があります。
ジュエリーは肌に直接触れるので、真珠に皮脂や汗がつきやすいもの。会食時に身につけると、食事やお酒がこぼれて付着するケースもあります。売却前はもちろん、外すたびに拭き取っておくと、きれいな状態を保ちやすいでしょう。
真珠のネックレスは、定期的に中の糸を交換しましょう。たるんでいると、連なっている真珠同士がこすれてキズができやすくなります。
糸換えの頻度は、3〜5年に1回ほどです。値段の相場は3,000円ほどとされています。売却前にわざわざ交換する必要はないものの、買取を見越して定期的に交換すると劣化を防ぎやすくなるでしょう。
真珠の買取を依頼するなら、最低でも3社から見積もりをもらいましょう。
1つの店舗に絞ると、相場がわからないのをよいことに相場以下の値段で買い取られてしまうかもしれません。なかには、真珠の価値がわからず極端に低い買取価格を提示する店舗もあります。
少しでも高く売るには、ほかの店舗の査定結果を提示して交渉を行うとよいでしょう。真珠に対する評価は店舗ごとに異なるので、ジュエリーの査定に強い買取店を選んでくださいね。
真珠の買取に値段がつきにくい理由と、高く売るコツを解説しました。
真珠は需要の低さや劣化しやすさから、値段がつきにくい傾向にあります。しかし、人気の高い種類やブランド、質のよいものであれば5〜10万円以上の値段で買取を見込めるでしょう。
真珠の買取を検討しているなら複数社に見積もりを依頼して、少しでも高く買い取ってくれる店舗を探してくださいね。
熊本の質屋 「質乃蔵」では、金やプラチナといった貴金属を専門に買取査定しています。もし、不要な指輪やネックレス、ピアスなどありましたら査定は無料ですので、是非ご利用ください。