質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
金といえばオリンピックが開催されると獲得する金メダルの数が話題にのぼります。そんな金メダルは、実は純金ではないのです。では、金メダルの素材はどういったものなのでしょうか?
今回はオリンピックメダルの歴史もまじえながら、気になるオリンピックの金メダル素材について詳しく解説します。
目次
燦然と勝者の胸に輝くオリンピックの金メダル。残念ながら、その素材は純金ではありません。
実は金メダルの素材は純銀。その表面に金張り、もしくは金メッキをほどこしたものが現在の金メダルなのです。つまり、金メダルは、ほぼ銀メダルということになります。
よく金メダリストが金メダルを噛む仕草をして写真撮影に応じていますが、もしメダルが本物の純金だったら素材が柔いので、メダルに歯型がついてしまうのです。昔は実際に金を噛んで本物かどうかを判断していた時代もあり、メダリストのパフォーマンスはそこからきているとも言われています。
1904年のセントルイスオリンピックから1912年夏のストックホルムオリンピックまで、金メダルは本物の純金のメダルでした。当時はまだ冬季オリンピックは開催されていなかったのです。ですから、長いオリンピックの歴史のなかで、純金の金メダルが作られていたのはごく短い期間にすぎません。
純金の金メダルが姿を消した理由は主に2つあります。
1つ目の理由は、種目数の増加にともない、生産しなくてはならないメダルの数が増えたことです。リオオリンピックでは306種目、東京オリンピックでは399種目と、回を追うごとにオリンピックの種目数が増えてきています。
種目数が増えれば、純金の金メダルを作るのに膨大な金額がかかってしまいますからね。
2つ目の理由は開催国の負担を減らすことです。メダルを生産するのは開催国ですが、オリンピックが開催されるのは経済力のある国だけとはかぎりません。
そもそも金の採掘量は減少傾向にあり、金相場は近年稀にみる高騰を続けています。純金の金メダルには、ますますお目にかかれなくなることは確実です。
オリンピックメダルには、2003年までオリンピック憲章で定められた規定がありました。メダルの大きさ、重量、厚み、材料である銀・金の純度や含有量などがすべて細かく決められていたのです。
メダルは少なくとも直径60㎜、厚さ3㎜はなくてはならない、銀の純度は92.5%以上なくてはならないことなどが指定されていました。
現在はベースにオリンピック憲章の規定があるものの、製造するメダルの形式がIOC(オリンピック委員会)に承認されれば、開催国側は自由なデザインでメダルをつくることができます。
ちなみに、東京2021オリンピックにおけるメダルの仕様は以下の通りです。
1964年にアジアで初めて開催された東京オリンピックのメダルは、直径60㎜、厚さ3㎜、重さは金・銀・銅それぞれ90g、82g、69gだったと言いますから、ずいぶん重くなった印象です。
さらに、東京2021オリンピックのメダルの特徴として、国民から回収したリサイクル金属を活用して作られている点があります。約5,000個のメダルを作るのに必要な金属量を100%達成。前回のリオを上回るオリンピック史上で最もエコなメダルが誕生することになりました。
金メダルとは名ばかりで、実際には金メダルは純銀の本体に金メッキされたものということが分かりましたが、それでも気になるのはその価値です。
2021年6月30日現在、銀相場(SV1000)は1gおよそ100円、金相場(K24)は1gおよそ7,000円 です。
東京2020オリンピックの金メダルは556g、そのうち金を6gとして計算すると、金メダルの価値は約97,000円ということになります。リサイクルとして買取に出すともう少し値が下がる可能性もあります。
金相場は近年稀にみる高値をつけていますから、もし金メダルが純金だとしたらその価格は数百万円です。実際の金メダルには素材としての価値はそれほどありませんが、金メダルは誰もが手にできるものではありません。素材の価値とは別のプライスレスな価値があるのがオリンピックの金メダルだと言えるでしょう。
1896年に初めてオリンピックがアテネで開催されたときは、金メダルではなくオリーブの花冠と銀製のメダルが授与されたとされています。
その後、1900年のパリオリンピックにおいて初めて登場した金メダルは金メッキのものでした。そして、先述の通り1904年のセントルイスから1912年夏のストックホルムまでは金メダルは本物の純金のメダルが使用されたのです。
ストックホルムオリンピックは日本が初めて参加したオリンピックでもあります。残念ながら日本が獲得した金メダルはゼロでした。
前回のリオオリンピックで日本選手が獲得したメダル数は41個で、これは過去最高です。東京2020オリンピックは開催国である利点もありますし、さらなるメダル獲得数の更新が期待されます。
オリンピックは競技の勝敗そのものを楽しむだけでなく、金メダルなどオリンピックをさらに盛り上げてくれる要素にも注目したいところです。特に、限られた資源をいかにサステイナブルに使うかは、オリンピックにおいても切実な問題になってきています。持続可能な視点でオリンピックを見てみると、また違った面白味があるでしょう。
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