質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
最近の金相場の高騰には目を見張るものがあります。金は有事のときに特に力を発揮するといわれ、資産形成の目的で金を持ちたいと考える人も増加傾向です。
できればより安く金を購入したいところですが、金を安く買える国があればそこで買いたいと思うのは自然なことでしょう。
今回は、金の安い国はどこなのか、国によって金の相場はちがうのかについて詳しく解説します。
目次
金の価格は全世界共通です。
世界にはいくつか金市場と呼ばれる市場があり、24時間眠ることなく活発に取引が行われています。なかでも大きな影響力を持つのがロンドンやニューヨークにおける金取引です。
これらの取引市場における金取引が世界的な指標になり金の取引価格が決定されるため、全世界で金価格にはそれほど大きな違いは出ません。
日本での金価格は、世界の金市場における価格を日本円に換算して決定されます。つまり、ドル円為替相場の状況が金価格に大きく影響してくるということです。
「世界的な金相場が下降傾向にあっても日本での金相場は上昇している」ということも、為替の状況次第ではあり得ます。とはいえ、元となる価格は世界の金市場で決定された金価格ですから、原則として金価格は全世界共通だと考えて問題ありません。
世界的な金取引は米ドルを使って行われ、金の重さはグラムやオンスではなく「トロイオンス」という単位で表されます。ちなみに1トロイオンスは約31.1035グラムです。グラムと勘違いすると「高い!」と思ってしまいますから、注意しましょう。
為替相場以外の要因で金価格が安くなることもあります。この際に重要な視点が、税金の有無との関係です。
台湾、シンガポール、ドバイなどでは、日本の消費税のような税金が金に課されないため、国内で金を買うよりも安く金を購入可能。なぜなら、日本で購入する時にかかる消費税10%分を支払わなくて済むからです。金は高価ですから、10%とはいえ無視できない金額となります。
台湾では、宝石店、デパート、免税店の他、銀行の一部でも金を購入可能です。銀行では預金を下ろすのと大差ないほどスムーズに窓口で金地金を購入できます。
金を使った宝飾品を購入する場合は、加工費が比較的割安な宝石店を利用すると良いでしょう。
シンガポールには付加価値税(VAT)、物品税(GST)、商業税などさまざまな間接税が存在しますが、シンガポールでも金の購入には税金はかかりません。
ドバイにはゴールドスークと呼ばれる金の青空市場があります。金がさらに安くなると言われる年明けには、世界中から金を求める人々が集まることで有名です。ドバイは数年前まで消費税がなく、店舗を利用する際の手数料や加工賃などのマージンが少ない点から、金が安い国のひとつでした。
しかし、2018年から付加価値税(VAT)が導入され、純度が99%未満の投資用の金には5%の税金が課税されるようになりました。それでも99%以上の金は非課税ですし、海外からの渡航者には5%の付加価値税のうち85%は戻る(店舗への手数料をのぞく)システムがありますから、日本国内で課税された金を買うよりはやはりお得です。
付加価値税の払い戻しの際には、対象店舗での購入を証明する免税タグとレシートが必要となります。
海外で安く金を購入できるのなら、たくさん買って国内で売れば消費税分儲けが出ると安易に考える人もいるかもしれません。しかし、海外で購入した金を日本に持ち込む際には注意が必要となります。なぜなら、持ち込む金の重量によって申告義務や課税義務が発生するからです。
購入した金(純度90%以上)の重量が1㎏を超える場合には、申告が必要であり、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」という申告書を必ず提出しなければなりません。
購入した金が他のお土産品と合わせて総額20万円以下であれば、申告により非課税となります。一方、20万円を超えると課税対象になり、消費税分を支払わなくてはなりません。
そうすると、結局国内で買うのと変わりない金額を払うことになるため、消費税分の利益を出そうと思うなら金の購入額は20万円以下に抑えなければなりません。そのため、海外で金を買って利益を出せるとしても、お小遣い程度にとどまると考えたほうが無難です。
申告しなければ税を払わなくて良いのでは、などと考えてはいけません。申告しないと密輸とみなされ、罰則を受けることになるからです。
実際のところ、近年では申告せずに海外から金を持ち込もうとして捕まるケースが増えています。決まりを知らなかったというケースもありますが、悪質な場合だとあらゆる手段を講じて金を持ち込もうとするため、国も対策を講じているのです。
たとえば、関税局は「『ストップ金密輸』緊急対策」を打ち出しており、門型金属探知機やX線検査装置の新規配備・拡充による取り締まりの強化を開始しています。
また、金を購入した国を出国する際のルールも把握しておきましょう。ちなみに台湾から金を持ち出す場合、2万米ドル相当以上の持ち出しに限り申告が必要です。
海外で金を購入する場合には、国内とちがってさまざまな注意点があります。言葉の問題などもありますから、トラブルを避けるために事前にできることを知っておくことが大切です。
まず、事前に金価格を調べておくことが挙げられます。スマホで調べてスクショを撮っておくなどすれば、コミュニケーションの助けにもなるでしょう。
店側から提示された価格に納得がいかなければ、価格交渉も可能です。アクセサリーの場合は、場合によっては加工費が金地金の価格よりも多くかかる場合もあります。
値切るとしたら店側の手数料分です。また、値切るためには、現地通貨で購入する方が良いでしょう。米ドルや日本円、カードなどで購入しようとすると、店側のマージンが高くなる可能性があります。
次に宝石店や専門店の選び方についてですが、客引きをする店は避けたほうが無難です。高値で買わされる、偽物をつかまされるといった被害に遭う可能性があります。
またドバイでは、購入した店が付加価値税払い戻し対象店舗かどうかもあらかじめチェックしておきましょう。購入時に支払った税金の85%が戻ってくるのですから、ぜひ利用したいところです。
海外で金を購入する際にさらに気をつけたいのは、偽物を購入しないことです。金が本物かどうかの見極めポイントは以下を参考にしてください。
海外の刻印は日本と異なる場合があります。海外の刻印の種類について、あらかじめ調べておきましょう。また刻印があったとしても実際とは異なる場合もありますから注意が必要です。
金はある程度の重さがありますから、手に持った感じも見極めポイントになります。ただし、タングステンなど重さのある金属をメッキしている場合はわかりづらいので要注意です。
金は「熱伝導率」が高い金属。触った瞬間は冷たくてもすぐに温かく感じられるようであれば、本物である可能性が高いです。また、金を買うときに持っていると便利なのが磁石です。金メッキや内部に別の金属の混ぜ物が多い場合は、磁石を近づけると反応します。ただしニッケルは磁石に反応しないので注意してください。
安い買い物ではありませんから、少しでも怪しいと思ったら購入をやめるのもひとつの選択肢です。
金は世界で通用する強い資産です。先行きが不透明な今の時代こそ、金を持ちたいと考えるのは当然なこと。だからこそ、金を購入するのに有利な国や各国の金相場について情報を増やしておくことが重要です。
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