質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
一般的な感覚では金とプラチナの価格を比較した場合、プラチナの方がより高価で価値があると考えがちです。しかし、昨今では金とプラチナの相場が逆転する現象が発生しています。
今回は、どうして金とプラチナの価格が逆転しまったのか?その理由や今後の展望について解説します。
目次
プラチナと金は、共に高価なものとして認識されていますが、実際には各々に異なる特徴があり、安易に比較できないという側面もあります。とりわけ双方の産出量に関してははっきりとした違いがあり、このことは需要と供給、さらには相場変動にも大きく関係しているのです。
年間の産出量はプラチナが約200トンに対し、金の年間産出量は約4000トンです。プラチナが南アフリカやロシアといった限られた地域でしか採れませんが、金は世界中に採掘場所があるため産出量にここまで差が出るのです。
また、これまでの累計の産出量はプラチナが約5000トンであるのに対し、金は16万トンにも及びます。つまり、プラチナには金に比べて市場での流通量が格段に少なく、希少価値が高いです。市場での価値について考える際には、このことについてもよく考慮するとよいでしょう。
産出量の多い金と産出量の少ないプラチナを比較した場合、プラチナの方が取引価格も高くなるのではと考える方も多いのではないでしょうか。実際、プラチナの取引価格は金の取引価格に比べて高い水準を保っていましたが、2015年のはじめに逆転現象が生じ、以後その状態が長きにわたって続いているのです。
この現象の原因として考えられるのが、金とプラチナそれぞれを必要とする業界の違いです。もともとプラチナは工業用としての需要が高く、全体の6割ほどが自動車部品、特にディーゼル車の部品などに使用されていました。(2015年フォルクスワーゲンがディーゼル車排ガス不正疑惑によって、ディーゼル車が売れなくなったためにプラチナ相場が下落。)それに対して金は宝飾品としての需要が高く、その割合は5割以上を占めます。
従って、プラチナは経済の悪化などによって工業製品の売れ行きが悪くなると、急激に需要が減ってしまうのです。それに加え、近年ではプラチナの宝飾品としての需要が高い中国において、純度の低いアクセサリーの製造が盛んになっています。これも、価格下落に大きな影響を与えたといえるでしょう。
これに対し、金には経済状況が悪化したときに価格が上昇するという性質があります。特にリーマンショック以降は徐々に価格が上昇しました。このこともまた、金とプラチナの相場逆転を引き起こした原因のひとつです。
プラチナは相場が変動しやすいため、今後の相場については「上がる」「下がる」といったことを断言できません。しかし、2021年現在では上昇の兆しを見せはじめており、ふたたび金の相場を逆転する可能性は十分にあるでしょう。(2021年にアメリカ大統領バイデン政権になり、今後経済上昇の期待値を込めて工業用品の需要が増えている要因もプラチナ相場上昇と関係あり)
プラチナの相場が上がる可能性をより高める要因として挙げられるのが、産出している国々の政治や経済の状況です。上述したとおり南アフリカとロシアでの産出量が突出して多く、例えばこれらの国々で経済危機などが起きれば、相場が急騰することもあるでしょう。
実際に1998年に勃発したロシア金融危機の際には、相場が急激に上昇したという記録も残っています。
ただし、プラチナはリーマンショックのような世界的な経済危機のあおりを受けやすく、新型コロナウイルスの流行による経済の停滞が続くうちは、相場が急騰するとは考えにくいでしょう。
現状で資産価値があり、投資対象としても魅力的なのは、相場が上昇傾向にある金だといえるでしょう。上述したように金の相場は経済が不安定になるほど上昇しやすく、不景気になったときの備えとしても魅力的です。
一方、現状で金よりも相場が低くなっているプラチナには、金に比べて相場が変動しやすいという特徴があります。相場が変動しやすいということは、利益を上げられる売り時が訪れやすいと考えることもでき、この点はプラチナ独自の魅力といえるでしょう。
投資対象としての魅力は、投資を行う人の考え方や価値観によって変化します。金とプラチナを比較した場合でも、一概にどちらがよいと断言することはできません。
現状で金はプラチナよりも相場が高く、この逆転現象はしばらく続くことが予想されます。しかし、だからといってプラチナに投資対象としての魅力がないというわけではありません。どちらへ投資するかを考える際には、自身が何を重視するのかを明確にし、先を見据えることが重要です。
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