質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
「金属アレルギーになりにくい」といわれていることから、K18金のアクセサリーを選んでいる方も少なくありません。
では、本当に金は金属アレルギーになりにくいのでしょうか?
今回は、金属アレルギーについて詳しく解説するとともに、金製品と金属アレルギーの関係や金属アレルギーへの対処法についてもご紹介します。
目次
生まれたときから金属アレルギーがあるという人は、実はそれほど多くはありません。実際のところ、思春期以降に症状が出たときに、「もしかして」と金属アレルギーを疑う人が多いのです。ここでは、金属アレルギーの症状について解説します。
まず、金属アレルギーは2種類に分けられます。金属が触れている部位に異常が生じる「局所型」と、接触部位以外に生じる「全身型」です。
局所型金属アレルギーの症状は、金属が接触している部位に限定されます。原因となっている金属を外すと、皮膚や粘膜の症状が軽減するのが特徴です。汗などの体液により悪化しやすくなります。
「アクセサリーや眼鏡が触れている部位にかぶれや湿疹ができる」「虫歯治療に使った金属が触れている部位に口内炎やただれができた」といった症状がみられたら、局所型金属アレルギーの可能性があります。
全身型金属アレルギーは、体の中に取り込まれた金属に反応して起こるアレルギーです。金属に触れていない手足や背中にまで湿疹ができたり、炎症を起こしたりといった症状が見られたりすることがあります。体の中から金属が排出されると、症状が軽減される仕組みです。
アレルゲン(アレルギーの原因)として挙げられるのは、主に口や鼻から体の中に取り込まれた金属です。たとえば、食品に含まれている金属や調理器具から食品に入った金属、歯科治療に使われた金属などがこれに該当。その他、金属が含まれたメイク用品や髪のカラーリング剤を使用した際に、皮膚や粘膜から吸収されるケースも見られます。
全身型の金属アレルギーでは、手や足になかなか治らない小さな水泡やしこりのある発疹や、1~5cmの赤班が出ることがあります。また、頭痛や肩こり、めまい、ほてりといった、他の疾患と似た症状が出ることも少なくありません。
歯科治療が原因となっている場合には、銀を使ってから7年前後で症状が現ることが多いです。そのため、アレルゲンが歯科治療に使った金属だと気付くまでに相当な時間がかかることもあります。
まずは、アレルギーの仕組みを見ていきましょう。私たちの体には、異物が体に入ったときにそれを排除するために異物の働きを押さえようとする「免疫反応」という仕組みが備わっています。この免疫反応が暴走して炎症反応を引き起こし、自分自身の体にダメージを与えてしまうのがアレルギー反応です。
金属アレルギーの場合、体の中に入った金属や粘膜や皮膚に触れている金属が、汗や消化液などといった体液の作用でイオン化し、体液中のタンパク質と結合します。このイオン化した物質が、免疫系にアレルゲンとして認識されてしまうというわけです。
そして、再度このイオン化した物質が生成されると、免疫組織が排除しようとして周辺部分まで攻撃し、炎症が引き起こされてしまいます。そのため、一般的にはアレルゲンとの接触が多いほど起こりやすいといわれているのです。
たとえば、ずっと唾液にさらされる歯科治療に使った金属や、ピアスホールを保持するための金属ピアスなどを使い続けると、それらの金属がアレルゲンになる可能性があります。また、医療用の体内埋め込みの金属、食物や塗料などの揮発性有機化合物に含まれる金属もアレルゲンとなり得るのです。
金であれば、絶対に金属アレルギーにならないわけではありません。ただし、金は金属アレルギーになりにくいといわれています。なぜかというと、アレルギーになりやすいかどうかはその金属がイオン化しやすいかどうかによるからです。
金は基本的に、イオン化しにくいグループの金属に分類されます。そのため、金が長時間体に触れたり、体内に摂取したりしてもアレルギーになりにくいとされているのです。イオン化しにくい金属としては金以外にチタンがあり、これらに次いで白金、銀などがイオン化しにくいといわれています。
たとえば、金箔などを食品の飾りに添えたり食べたりできるのも、この性質を利用しているからです。金はイオン化しにくく成分が体液に溶けだしにくいため、体に害を与えることなく排泄されると見込まれるからこそ、食べることができるのです。
しかし、金であっても金属アレルギーを発症することもあります。たとえば、昔から歯科治療には金や銀が使われていました。金も銀も比較的イオン化しにくい金属だとされていたからです。しかし、近年では、歯科治療が原因で金属アレルギーになってしまった方がいることが判明しました。そのため、現在では、金属を使わずに保険診療の範囲でできる治療方法が確立されているのです。
金は、比較的アレルギーの原因になりにくい金属だといわれていますが、金を製品化する際に混ぜた金属の種類によっては、その金制品が金属アレルギー発症の引き金になってしまうこともあります。
なぜなら、金製品には銅やイリジウム、パラジウム、ルテニウムなどを混ぜて固さや色合いの調整をすることがあるからです。これらの金属によって、アレルギーを発症する可能性があります。
アレルギーを気にしている方が、金属アレルギーになりにくいからという理由で金製品を選ぶ場合には、純度の高い金製品を選ぶのがおすすめです。金の純度は「K18」や「K24」など、「K」と数字の組み合わせで表示。なお、K18は18金、K24は24金と読みます。
18や24という数字は、製品に含まれる金属の割合を24分割し、金が含まれている割合を表しています。たとえば、K24は24分割したうちのすべてが金、つまり純金の製品という具合です。また、K18の金の割合は、24分割したうちの18、つまり75%が金でできています。数字が大きいほど金以外の金属が少なくなるので、金属アレルギーを発症しにくくなるのです。
また、K18であっても、カラーゴールドには注意が必要といえます。K18のホワイトゴールドは75%の金と15%の銀、残りの10%はニッケルやパラジウムで構成されているためです。ニッケルやパラジウムはイオン化しやすいため、アレルゲンになりやすい物質。そこで、ホワイトゴールドの色合いが好きという場合には、プラチナ(白金)を選ぶと安心です。
なお、イエローゴールドは金75%、銀15%、銅10%、ピンクゴールドは金75%、銀10%、銅15%なので、ホワイトゴールドよりはリスクが少ないといえるでしょう。
いずれにしてもK18を選ぶ場合は、他にどんな金属が混ぜられているかをしっかり確認してから購入することが大切です。
それ以外にも、金製品としての純度が低いものも注意が必要です。
上記のようにK10やK9、K18KGPなど純度の低い金製品は金属アレルギー反応がでやすいので、体質が合わない方は注意が必要になります。
金属アレルギーで心配される方はK18金以上の純度がおすすめです。
では、金属アレルギーになりやすい金属にはどのようなものがあるのでしょうか。金属の分子が溶け出してイオン化しやすい金属は、金属アレルギーになりやすいので、注意が必要です。
まずは、イオン化しやすい金属を順にご紹介します。
たとえば、人間の体液に含まれているカリウムやカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄などに対してイオン化しやすいのは、アルミニウムや鉄、ニッケル、コバルト、クロム、鉛などです。これらの金属は、アレルギーを引き起こす可能性があります。
このうち、ニッケルとコバルト、クロムは、金属アレルギーの3大原因金属とされてきました。しかし、最近ではパラジウムを加えて金属アレルギーの4大原因金属ともいわれています。
4大原因金属の中でも、特にニッケルは安価で、アクセサリーなどに艶や輝きを加える加工によく使われる傾向にあり、ニッケルアレルギーの人が増えています。できるだけアクセサリーの表示に「ニッケルフリー」「低ニッケル」などと記載されているものを選ぶのがおすすめです。
アクセサリーや腕時計など、金属を装着している部位の皮膚に症状が出た場合は、すぐに外しましょう。そして、局部型・全身型のいずれの場合も、まずは皮膚科を受診することが大切です。
皮膚科では、金属アレルギーの検査であるパッチテストを実施します。パッチテストとは、アレルゲンと疑われる物質を皮膚に載せて、テープで覆ってその物質への反応を見る検査です。パッチテストにより、金属アレルギーの原因となっている物質の特定が可能。アレルゲンの金属が特定されたら、その金属との接触を制限し、ステロイドや抗ヒスタミン剤などの薬物治療も行います。
金は、他の金属に比べると金属アレルギーになりにくい物質です。しかし、他の金属が金属アレルギーの原因になることがあるので、金製品のアクセサリーを選ぶときはできるだけK24を選んだほうがよいでしょう。それでもアレルギーのような症状が出たら、すぐに皮膚科を受診してください。
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