※【記事公開日】2021年8月28日【最終更新日】2022年3月11日に記事更新しました。
質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
最近、金相場は高騰傾向にあり、投資や蓄財目的で金を購入する人が増えています。今でこそ高値をつけている金ですが、過去には今の価格からは考えられないほど安かった時代もあることをご存じでしょうか。
今回は、金相場の最高値と最低値はいつだったのか、その背景についても詳しく解説します。
目次
2022年、ロシアによるウクライナ軍事侵略。ウクライナ情勢が悪化し、安全資産の金が買われ金相場が過去最高に上昇しています。
2022年3月9日、過去最高値(K24金)8,299円/gを記録しました。
今後、ロシアとウクライナだけの問題ではなく、第三次世界大戦の引き金になる可能性もあるので、安全資産の金がさらに上昇する可能性があります。
ちなみに、過去2番目に金の相場価格が高かったのは、2020年8月7日です。
2020年8月7日、金の相場価格(K24金)は過去2番目の最高値7,769円/gをつけました。これは20年前の約7倍の金額で、40年ぶりの高値です。その後6,000円台にはなったものの、2022年になっても安定した高値は続いています。なぜそこまでの高値になったのでしょうか。
ところで、金相場を定期的にチェックしない人でも「最近、金買取の看板をよく目にするようになったな」と思うことはありませんか?
コロナ禍によるステイホームで断捨離をする人が増え、自宅から出てきた金地金や金のアクセサリーを売却するようになったことが、金買取が目に付く要因だと思われるかもしれません。しかし、実は順序が逆。先行きの見えない世界情勢のために経済不安が高まり、その結果金の価値が上がって世界的に金を買い取る動きが優勢になっているのです。
金相場の変動の要因は単純ではなく、複数あるといわれています。2020年8月7日に金が市場2番めの最高値をつけた背景には、アメリカでのコロナ感染者の増加、老舗大手デパートチェーンの企業破綻連鎖、米中間の半導体をめぐる貿易戦争、ドル建て金価格の上昇の影響など、アメリカがらみの要因が多いのが特徴です。
その後、現在までは堅調に推移を続けている金相場ですが、さらなる高値を更新する可能性はあるのでしょうか。今後コロナワクチン普及により世界経済が落ち着くと金の需要が鈍化し、2020年ほどの高値は再びはつかないのではと推察する専門家もいました。
しかし、2022年ロシアとウクライナの戦争によって、安定資産の金が買われ金相場が上昇しています。
では、日本で金の相場価格が過去「3番目に高かった」のはいつなのでしょうか。それは1980年、まだバブル以前の時代です。
バックグラウンドとして、前年の1979年1月にイラン革命が勃発、世界を第2次石油危機(オイルショック)が襲います。その後、テヘランのアメリカ大使館占拠事件(11月)、ソ連によるアフガニスタン侵攻(12月)を経てアメリカとソ連の冷戦モードが進んだことも投資家の不安を煽りました。
さらにさかのぼる1978年、日本で金が初めて投資対象になりました。同年は金輸出の自由化が始まった年でもあります。
そういった時代背景を受け、金(K24金)は1980年1月に6,495円/gというそれまでで最高値をつけることになりました。ところが高値は安定せず、わずか4ヶ月後の5月には3,645円/gとあっという間に3,000円以上も下落してしまいます。原因は、アメリカとソ連間の緊張緩和によってドルが力を取り戻したからです。
ドルは当時から世界経済の中枢ともいえる基軸通貨。ドルが弱くなれば金に資金は集まりますが、この場合、その反対の現象が起きたわけです。
このように、「3番目に高かった」金価格が出たものの、アップダウンが激しいかったのが1980年のことでした。
1980年に一時的に高値を記録した金価格は、その後20年間下落の一途をたどります。
金価格(K24金)が史上最安値を更新したのは1999年9月で、962円/g。現在の6,000円台後半の金価格からは考えられないほどの安さです。
1991年のバブル崩壊後、金価格はさらに下落していましたが、ついに1,000円台を割ってしまったのが1999年。当時アメリカは好景気でしたから、投資家の資金がドルへと流れていったのです。
当時金を安く入手した人が金の売却で旨みを味わうまでには、2000年以降まで待たなくてはなりません。しかし、K24金を1gあたり962円のときに購入していれば、今では当時の約7倍になっているとは凄いことですね。
たとえば、K24金を100万円分購入していれば、現在では、約700万円になっています。
1980年代から約20年は基調として下落傾向にあった金価格ですが、2000年以降は一転して上昇の一途をたどります。ついに2020年には最高値を叩き出し、その後も金価格は安定。2000年に入ってからの20年間、世界で起きた出来事がどのように金相場と関係してきたのでしょうか。
ITバブルが崩壊しアメリカ経済の景気は後退、2001年に起こった9.11アメリカ同時多発テロが発生すると、投資家の資金が金に流れ始めます。2003年にイラク戦争、2008年にはリーマンショックが起こり、2000年初頭は1,000円台前半だった金相場は2010年には3,000円台になったのです。
その後もアメリカ景気回復の兆しとリンクするように金の価格は堅調に推移。そして2020年には世界をコロナ禍が襲いますが、これが金価格を押し上げるのに有利に働きました。米中の貿易戦争のあおりを受けたこともあり、ついに金は史上最高値の「1g7,769円」を更新するに至ったのです。
金は「有事の金」と呼ばれるほど。つまり、世界経済が不透明であればあるほど人々は金を求める傾向があるのです。金が高値を更新しているということは、世界情勢はますます混沌を極めるとみている人が多いことの表れだと言えるでしょう。
金の実物資産という特性から、現金や資産を金に換える人も増えています。金相場は様々な要因による影響を受けますが、特に日本の金相場に強い影響を持つのはアメリカ経済のドル円為替市場です。
今後しばらくは安定した金相場が期待できるでしょう。しかし、金で損しないためには多層的に情報を収集し、複数の材料の関係の変化を見逃さずに観察することが大切です。
金は実物資産と呼ばれ、存在自体に価値がある資産の代表的なもののひとつ。金を含む貴金属の他に、不動産やアートやコインなどのコレクターズアイテムも実物資産に含まれます。
現金や預貯金、投資商品などに代表される金融資産は金融危機に際して暴落する可能性があります。その点、実物資産は金融危機に強い点がメリットです。
最近では、コロナ禍の影響で投資信託が大打撃を受けた場面がありました。その点、金相場は人々が経済に抱く不安と正比例して高騰し、先述のように2020年8月には40年ぶりの最高値を更新したのです。
また、金はインフレにも強いとされています。インフレとはモノの価値が上がってお金の価値が下がること。金などの実物資産は、インフレになったとしても資産価値が大幅に下がることはありません。
さらに、金は世界共通の価値を持つため、信頼性が高い点も大きな強みです。世界経済危機にも価値が落ちにくい金は、今後いっそう先行き不透明になる可能性を秘めた世界情勢を考慮すると、安定した資産として求める人が増えるのも納得の資産だと言えるでしょう。
ただし、金を持つことにはデメリットもあります。例えば、金をインゴットや金貨など現物として持つ場合、盗難される危険性を考えてしっかり管理する必要が出てきます。また、損傷するとその分だけ価値が下がることも懸念されるので、取り扱いには注意が必要です。
そういったデメリットも理解した上で、蓄財やリスクヘッジとして金を持つことは大いに意味があると言えるでしょう。金の埋蔵量・産出量にはすでに限りが見え始めており、そのこともまた金相場が長期的に安定する根拠となっています。
コロナショックや世界経済の先行き不安材料から、金の需要は高まっています。しかし、金を資産として運用したいと考えるのであれば、金相場の上下に一喜一憂せず、ある程度長期的なビジョンを持つことをおすすめします。今は金の売り手市場ですから、買取先を吟味することも重要になってくるでしょう。
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