質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
唯一無二の輝きを放つ金(GOLD)は、古代より世界中の人々を魅了してきました。その輝きは人を惑わせ、金を追い求めて争いが生じ、卑金属から金を造り出す錬金術に夢中になる人々もいたのです。では、そもそも金(GOLD)はどうやってできたのでしょうか。
今回の記事では、金はどうやってできたのか徹底解説します。金のトリビアとして知っておいて損はないでしょう。
目次
まず、金とはなにかをおさらいしておきましょう。
学生時代に習った元素記号を覚えていますか?金は元素記号でいうとAu、原子番号79の金属元素です。ちなみにAuはラテン語で「光るもの」、英語のGOLDはサンスクリット語で「輝く」という意味を持つ言葉に起源があるとされています。
金にはその輝き以外にも優れた性質がいくつもあります。まず挙げられるのが、展延性です。手にするとずっしりと重量感のある金属ですが、とても柔らかいため、形を変えて加工しやすいという特徴があります。
金は金属のなかで最も薄く延ばせる金属です。たとえば、純金箔と呼ばれる金箔は純金を金槌で叩いてごくごく薄く延ばして作られます。ただし、金の展延性はアクセサリーなどに金を加工する際にはデメリットになるといえるでしょう。そこで、他の金属と混ぜて純度を下げることで加工しやすくします。金は純度によって用途が異なるのです。
さらに、金の持つ性質として挙げられるのが、熱伝導性、電気伝導性、耐食性などがあります。
金は持ったときはひんやりした感触ですが、持ち続けているとすぐに温まってきます。この性質は、金が本物かどうかを見分けるポイントでもあるのです。電気伝導性に優れている性質は、工業用品や医療機器の部品にも活かされています。
耐食性とは、酸化しにくい性質のこと。つまり、年月が経過しても退色・腐食しにくいのです。この性質があるからこそ、金は永遠の輝きを持つといわれるのですね。
以上のような性質は他の金属にはありません。また、金の地中の埋蔵量には限りがあることも、金の希少価値を高めています。
中世には、卑金属から金を造り出す、今では荒唐無稽と思われる錬金術が真剣に研究されていました。それほどまでに金は昔から人々を魅了し、求められてきたのです。
実は金を人工的に作ることは理論上、可能です。しかし、それは水が水素と酸素を混ぜることでできるような単純なことではありません。
金を人工的に作るには膨大なコストがかかるため、採算が合わないのです。それだけでなく、金を人工的に作ると放射性物質が発生するため、環境面でも大変なリスクを抱えることになります。そのため、金を人工で作るのはあまり現実的ではないというのが現状でしょう。
では、現在地球上にある金はどうやってできたのでしょうか。現在、「金は宇宙からやってきた」という有力な説があります。
今から数十億年前、宇宙では恒星が核融合を繰り返すなかでさまざまな元素が生まれていきました。その後新星爆発などが起こり、金やその他の金属を含んだ隕石ができたばかりの地球に飛来し、地球の深部に沈んでいったというわけです。
また別の説では、金は宇宙で起きた中性子星同士の衝突と合体から生み出されたとされています。
地球が生まれて間もない遥か昔の宇宙から金が生まれたという説は、なんともロマンをかきたてられますね。
ところで、現代の錬金術ともいえる金の作り方もあります。それは、都市鉱山といわれる使用済みの電子機器内に使用されている貴金属を回収し、リサイクルする方法です。先の東京2020オリンピックでは「都市鉱山から作る! みんなのメダルプロジェクト」でアスリートに授与されるすべてのメダルをリサイクルで作ることに成功しました。
金は地球深部のマントルでできる、という説もあります。マントルとは地球を構成する層のうち、体積の83%、質量の67%を占めている部分です。主に重い岩石でできています。
残念ながら、なぜ金がマントルでできたかはまだ解明されていません。火山の噴火によってマントルから地表に流出したマグマは冷えて火成岩になり、火成岩から結晶化された金が採掘されます。
金がマントルでできた証拠として、アルゼンチンのパタゴニア火山で地表から70kmの深さの溶岩から金を含むペリドダイド(マントル上部に分布される岩石)が発見されています。
それほどの深部に潜んでいる金は、どのようにして私達の手元に届くのでしょうか?
金には川から採れる砂金(川金)と山から採れる山金の2種類があります。砂金は、金鉱脈からはがれ落ちたものが川底にたまったものをさらって採取。山金は、「浅熱水性金銀鉱床」と呼ばれる鉱脈から採掘されます。
マグマの中から溶け出した鉱物や元素が含まれた熱水が岩石の割れ目を通過し、その後温度や圧力が低下することで、鉱物や元素が結晶化して岩石に付着します。この結晶が金や銀です。
19世紀にはアメリカやオーストラリアで金鉱が発見され、多くの人が文字通り一攫千金を目指して採掘地へと詰めかけました。これがいわゆる「ゴールドラッシュ」です。
最も有名なゴールドラッシュはアメリカで1948年に起こりました。全米だけでなく、世界中から金を求める人々が殺到し、辺鄙な一地方に過ぎなかったカリフォルニアの人口は数年で一気に15倍以上にふくれ上がったといわれています。
日本ではかつて、東北や新潟で多く金が採れる時代がありました。現在ではほとんどの金山は閉山し、いまだに稼働中の金山は鹿児島県の菱刈鉱山を残すのみです。菱刈金山では現在でも年間6トンしかも高品位の金を産出し、商業ベースで操業が行われています。
世界中の多くの人を魅了する金。その起源が遥か彼方の宇宙にあると思うと、金に対する憧れがさらに増しますね。ぜひ、金の価値を再確認してみてください。
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