質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
金といえば、オリンピックの受賞者が金メダルを噛んでみせるパフォーマンスが有名です。一説によると、あれはメダルの硬さで純度を確かめているとも言われています。
その真偽はともかく、金の硬度はどれぐらいのものなのでしょうか。純度の観点からも解説します。
金メダルを噛んで硬度を確かめるのは、金の持つ「とても柔らかい」という性質からきています。つまり、硬さを確かめるのではなく柔らかいかどうかで、メダルが純金かどうかを確かめるというわけです。
金、特に純度が99.99%を超える純金は、性質上非常に柔らかいため、アクセサリーなどの実用には向かないこともあります。
物質の硬度を表す単位に「ビッカース硬度(HV)」というものがあります。金の硬度は22HV。熱処理を加えると50まで上がりますが、これは他の金属と比べるとかなり低い数値です。ちなみに銀は25HV、プラチナになると50HVまで上がります。ダイヤモンドになると7,140~15,300HVです。
金の持つ性質のひとつに「展延性」があります。これは、圧迫することと引っ張ることで物質が延びる性質のことです。
この性質を持つ金は、ごく薄く延ばすことで様々な工芸品や美術品、またときには食品や化粧品、工業品にも使われています。
金は光が透けるほど薄く延されたものは金箔と呼ばれ、1gの金から厚さ10,000分の1ミリ、1平方メートルの大きさの金箔を作成可能です。
金箔の歴史は7世紀末とも8世紀初頭からとも言われており、現在国内では99%以上の金箔が石川県金沢市で製造されています。
金箔の用途は文化財や美術品の修復に使われるほか、金箔ソフトクリームなど身近な食品をリッチに見せる働きをすることも少なくありません。
金はごく細い糸状に加工して使われることもあります。金1gの金で2.8kmの金糸が作れるといいますから驚きですね。
本金糸と呼ばれるのは、和紙に漆で純金箔を貼りつけて乾燥させ、繊維でできた芯に巻きつけて糸状にしたもの。最近は価格の安いポリエステル純銀蒸着フィルムを使用したものもあります。
本金糸は手工業で作られるため価格も10倍近く高くなりますが、化繊にはない輝きが魅力です。
金糸は古代から高級な織物や刺繍に用いられてきましたが、現在では着物の需要が減っていることから、ニーズは減少傾向だと言えるでしょう。
純金はジュエリーとして加工するには扱いにくい素材。身につけているうちに力が加わって変形してしまう可能性があるからです。そのためジュエリーとして使われる場合は、より硬度の高い他の金属を混ぜた合金が多く使われます。
金には他の金属と混ざりやすい性質があるため、合金にすることで繊細なデザインのジュエリーを作ることが可能。毎日はめる結婚指輪などは合金で作られることがほとんどです。
ジュエリーに使われる金は、金の割合が75%を占める18Kが主流。金に銀やプラチナ・銅・パラジウムなど他の金属を混ぜることで、色合いや硬度が変わり、バリエーションを楽しむことができます。
金は混ぜる金属や量によって、イエローゴールド・ホワイトゴールド・ピンクゴールド・レッドゴールド・グリーンゴールドと名称が変わります。
イエローゴールドは金75%・銀15%・銅10%で作られる合金。純金に近い暖かみのある色を持つのが特徴です。イエローゴールドは、硬度を120まで上げることができます。
ホワイトゴールドは金75%・銀15%・パラジウム10%で作られる合金です。銀とパラジウムといった白い金属を割り金として使っているため、外見はプラチナと似ています。プラチナよりも安価な点も魅力。ホワイトゴールドの硬度はイエローゴールドよりも少し上がって125です。
女性に特に人気のピンクゴールドは金75%・銀5%・銅18%パラジウム2%で作られる合金です。ピンクゴールドは、硬度は150以上にもなります。
数あるカラーゴールドのなかでレアな色味ノレッドゴールドは、金75%・銀10%・銅15%で作られる合金です。ピンクゴールドよりも銀の配分が減り、銅の配分を増えることで赤みの強い合金になります。レッドゴールドは、硬度は150です。
金75%・銀25%で作られるグリーンゴールドも比較的珍しい合金。金同様、銀もそれほど硬い金属ではないため、硬度は40程度です。
金は純度によってここまで硬度が異なるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。純度が高いほど傷つきやすいため、取り扱いには注意しなければなりません。ぜひ金を扱うときの参考にしてください。
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