京都にある金閣寺は足利義満によって室町時代に完成した寺院で、日本文化の象徴ともいえる建造物です。世界遺産にも認定されています。この金閣寺には多くの金箔が使われていますが、どれほどの量の金箔が使われているかご存じですか。
ここでは金閣寺に使われている金箔の量や価格、建立者である足利義満の思惑などを解説します。
目次
金閣寺は、金をごく薄く延ばした金箔を壁に漆で張り付けて装飾されています。鏡湖池の水面に映る金閣・舎利殿の景観は、日本人はもちろん外国の方も見とれてしまうほどの美しさです。
このように大きな建物全体を金箔で覆うためには、一体どのくらいの量の金が必要なのでしょうか。最近の金閣寺の再建や改修の際にかかった金の重さとその値段をご紹介します。
現在の金閣寺に使われている金箔の量は20kgです。1950年に放火で焼失してしまった際には、2kgの金箔を使用して1955年に再建されました。それ以前の金閣寺に使われた金の量については正確な量はわかりません。
再建して32年後、日本がバブル期にあった1987年に「昭和の大改修」と呼ばれる改修が行われた際には、それまでの量から一気に使用する量を増やし、20kgもの金箔が使われました。さらに20年後、2003年の全面改修でも20kgの金箔を使用しています。
1955年に再建された際の金閣寺の金箔の厚さは、0.1マイクロメートルと、ごく薄いものでした。これは通常の金箔と同じ厚さですが、通常の金箔では金閣寺に使用するには適していませんでした。この厚さでは紫外線の影響を受けやすくなってしまうのです。金箔にピンホールができてしまうため、のりの役割を果たしている漆が変質し、金箔が剥がれ落ちてしまいました。
そのため、昭和の大改修の際には0.5マイクロメートルと約5倍の厚さの金箔を20万枚用意し、二重にして強度を確保することにしました。現在の金閣寺も同様に、0.5マイクロメートルの金箔が使用されています。
金の価格はその時代の金の相場によって変動します。1955年の金閣寺再建の際には、政府の補助や寄付を集めて3,000万円が費やされており、当時の貨幣価値から見ても破格の工事費でした。しかし1978年の昭和の大改修では、バブル期で物価が高騰していたこと、金箔の量を5倍に増やしたことなどから、改修費は7億4,000万円に跳ね上がっています。
金閣寺の金に使われた費用ははっきりとはわかりませんが、1955年当時の金相場は1gあたり585円だったため、金の原価のみでも1,170万円以上。また1978年の金相場は1g1,343円だったため、2億6,860万円以上かかっていると考えられます。
ちなみに2021年現在なら使っている金の値段だけを計算すると。純金相場1gあたり7,000円なので、20kg×7,000円=1億4000万円。素材費用だけでもかなりの値段になりますね。
金閣寺を建てた足利義満には、実は「天皇家を乗っ取る」という野望があったといわれています。
足利義満は天皇家を乗っ取るために、自分の息子である義持を4代目の将軍にして、義持の弟、つまりもう一人の息子である義嗣を皇太子にしようとしたのです。皇太子の父となることで、いずれは上皇と並ぶ権力を握ることを画策していました。
上皇ともなれば、立派な御所が必要になります。金閣寺は足利義満が天皇家を乗っ取り、権力を握った暁の御所にするという思惑で建てられたのです。
足利義満が金閣寺に金箔を施した理由には諸説ありますが、有力な3つの説を解説します。
財力を所有していること、人を動かす権力を持っていることを、建物に金箔を貼ることで示したという説。
金は当時使われていた他の金属に比べてさびにくい性質を持っています。年月を経ても変わらない輝きを保つことができるため、昔から国内外では「変わらないもの」「永遠」というイメージを金に持っていました。そのため足利義満も不老不死の象徴として使用したという説があります。
金閣寺が建設された平安時代末期は、日本各地で災害や戦が多くありました。貴族社会の没落の予兆を感じる中、足利義満はこの世の極楽浄土を表現したという説もあります。
金閣寺の上部は美しい金箔に覆われていますが、1階部分である「初層」の壁には金箔が貼られていません。金箔に覆われ優美に光り輝く2層目と3層目に比べると、初層は剛健な印象を与える黒みを帯びた柱と白壁の作りになっています。
これは金閣寺の建設者である足利義満が、豪華絢爛さを追い求めて自ら没落していく貴族に対して、「自分たちのような質実剛健な武士が取って代わる」という意思の表示といわれています。
1398年に建立された金閣寺は、これまで11回再建や改修が行われてきました。昭和の大改修は1986年の2月に着工し、1987年9月までの期間を要しました。
金箔を貼り付ける作業は、大勢で行うと少しずつズレが出てきれいに貼ることができません。そのため昭和の大改修の際には、狂いなく金箔を貼り付けるために1人の金箔押し職人が約3000枚もの金箔を貼りつけたといわれています。
現代の技術を持ってしても1年8カ月かかると計算されており、これ以前の金箔張替えの改修作業は数年がかりの長期にわたったと考えられています。
建立から600年余り経つ金閣寺は、過去数回の改修が行われてきました。建立後も再建やメンテナンスで金箔が張替えられ、億単位の費用と年単位の労力を必要としてきました。
多くの人たちの手で大切に維持されてきた金閣寺は、大人になってからもう一度足を運びたい観光地のひとつです。
熊本の質屋 「質乃蔵」では、金やプラチナといった貴金属を専門に買取査定しています。もし、不要な指輪やネックレス、ピアスなどありましたら査定は無料ですので、是非ご利用ください。