質乃蔵(しちのくら)の児玉です。
金といえば貴重な金属の代表ですが、国内外での相場や需要は上昇傾向にあります。では、金は地球にどれほどの埋蔵量が残っているのか、1年でどれほどの量が採掘されているのかをご存じでしょうか?
ここでは日本も含めた各国の埋蔵量・採掘量をご紹介します。
目次
「採掘量」と「埋蔵量」は違うのでしょうか。簡単に言うと、採掘量は「金を掘り出す量」、埋蔵量は「掘り出して利益を生む金の残量」です。
国内外では多くの金鉱が発見されてきましたが、地中深くや海中で見つかる場合があります。このような金鉱は採掘にかかる費用が大きくなり、採掘しても利益が出ないので埋蔵量には換算しないのです。
採掘しやすい新たな金鉱が見つかる、または技術が進んで新たな採掘方法が考案されると埋蔵量の増加につながるでしょう。
金が発見されてから6000年余り、世界各地でこれまで採掘してきた金の総量は、約183,600トンと言われています。なお、現在世界での採掘量は年間約3,000トンです。
採掘された総量の約183,600トンを、オリンピックなどで使用される50メートルプールで換算してみましょう。このプールには2,500トンの水が入りますが、金は水より約19倍の重さがあるので、183,600÷(2,500×19)という計算をすると、答えは約3.8杯となります。
現在、金はどのくらい残っているのでしょうか。2019年時点の埋蔵量は、世界全体で約50,000トンです。この埋蔵量を年間3,000トンのペースで採掘していくと、約10年で枯渇すると言われています。ただし、この埋蔵量は今後の技術革新によって増える可能性もあるでしょう。
現在世界では年間3,000トン前後の金が新たに採掘されていますが、どの国が最も多く産出しているのでしょうか?2019年のデータを見てみましょう。2019年における金の総産出量は世界全体で約3,300トンであり、産出上位国と産出量は以下の通りです。
1位 中国 約420トン
2位 オーストラリア 約330トン
3位 ロシア 約310トン
4位 アメリカ 約200トン
5位 カナダ 約180トン
6位 インドネシア 約160トン
7位 ガーナ 約130トン
8位 ペルー 約130トン
9位 メキシコ 約110トン
10位 カザフスタン 約100トン
かつて金の産出でトップを誇ったのは南アフリカで、2005年には約295トンと世界全体の12%を占めていました。しかしその産出量は現在までに徐々に減少し、2019年には世界12位にまで転落したのです。反対に、中国は2005年から2014年までは産出量を倍近くまで増やしてきました。2017年の環境規制強化によって減少したものの、2019年ではトップに輝いています。その他、オーストラリアやロシアについても順調にゆるやかな増産を続けているのが特徴です。
ここでは、金の埋蔵量と全体に占める割合について、2019年末のデータをもとにした世界ランキングをご紹介します。
1位 オーストラリア 約10,000トン 20%
2位 ロシア 約5,300トン 11%
3位 南アフリカ 約3,200トン 6%
4位 アメリカ 約3,000トン 6%
5位 インドネシア 約2,600トン 5%
6位 ブラジル 約2,400トン 5%
7位 ペルー 約2,100トン 4%
8位 中国 約2,000トン 4%
9位 カナダ 1,900トン 4%
10位 ウズベキスタン 1,800トン 4%
2019年の世界の金埋蔵量は50,000トンでした。上位5か国を合計すると総量約24,100トンで、世界全体の48.2%を占めています。1位と2位にランクインしたオーストラリアとロシアは、採掘量においても2位と3位にランクインしています。オーストラリアとロシアは、今後も安定した採掘が見込めるでしょう。
採掘量でトップとなった中国は、埋蔵量については2,000トン、世界比率4%と埋蔵量ランキングでは8位にとどまっています。これに対して、採掘量では12位となっていた南アフリカが埋蔵量では3位に食い込みました。
採掘量と埋蔵量ランキングでは、日本は10位までにランクインしていませんでした。現在の日本では、金は採れないのでしょうか。
実は現在でも、鹿児島県にある菱刈金山と串木野金山の2か所金で金を採掘しています。埋蔵量は、双方合わせて260トン程で、年間7トン程度が採掘されているのです。
かつて日本は黄金の国ジパングとも呼ばれ、各地に金鉱がありました。日本では、すでに平安時代の建築物に金箔が使われています。奈良時代には東北地方に金鉱があったと見られていて、この金山から取れた金だという説があります。
なかでも日本の金鉱として有名なのが佐渡金山です。江戸時代には徳川家康の命令によって、佐渡金山から400キロもの金が採掘されました。しかし、江戸時代の終わりごろには採掘量が減ってしまいます。そこで明治政府は採掘機械を導入し、佐渡金山の採掘量を再度増やしたのです。長い間金の採掘が行われてきた佐渡金山は390年余りで埋蔵量の限界を迎え、1989年には閉鎖となりました。
金の採掘量の少なさから、いかに希少価値が高いものなのか理解できたはずです。そんな希少価値のある金は、リサイクルによって再度利用されます。
例えば、指輪やネックレスといったジュエリー商品、パソコンやスマートフォンなどの家電製品など、私たちが日常生活で使っているものに金が使われています。そのような身近に存在する金制品ですが、不要になった場合、回収して再利用することができるのです。ちなみにリサイクルすることのメリットは、山や海底から金を採取するよりもコストが安く、はるかに効率よく集めることができるということです。
上記の数字からリサイクルで金を回収する方が圧倒的に効率がよいということが分かるはずです。
これまで採掘された金の総量は約183,600トン、残された埋蔵量は約50,000トンです。このままのペースで採掘が進めば10年程度で枯渇すると推測されています。しかし金はリサイクルが盛んなので、仮に掘りつくしたとしてもすぐに在庫量が枯渇することはなさそうです。
金の今後の価格を正確に知るためには、埋蔵量・採掘量だけでなく、採掘技術などの最新情報もチェックしてみることをおすすめします。
熊本の質屋 「質乃蔵」では、金やプラチナといった貴金属を専門に買取査定しています。もし、不要な指輪やネックレス、ピアスなどありましたら査定は無料ですので、是非ご利用ください。